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トイレが変わった!

教員コラム
2023.11.06
現代社会学科
澁谷 昌史

COVID-19をめぐる規制が緩やかになり、旅行を楽しんでいる方も多いでしょう。わたしも、約4年ぶりに、日本の外へ飛び出して調査をしてきました。

今回訪れたのはニューヨーク市。過去に何度か訪問している地ですが、今回は10年ぶりの再訪です。

※ニューヨーク市内の繁華街。ハロウィン当日は立錐の余地もないほどのにぎわいでした。



しばらく過ごして気づいたのは、オールジェンダー対応のトイレの多さ。トイレの調査に行ったわけではないので正確なところはわかりませんが、10年前と比べて明らかに増えています。ネットでニューヨーク市のトイレ事情を調べてみると、「公共のトイレをオールジェンダーに対応したものにする」という政治的判断が数年前になされ、今はその成果が表れつつあるようでした。

多様性あるリベラルな大都市での話ですので、アメリカ全土で同じようなことが起きているわけではないでしょう。また、よく調べれば、ニューヨーク市でもこうした動きに反対する人たちが少なからずいるのかもしれません。いずれにしても、「アメリカは改革がスピーディーだなぁ」という印象を、アメリカ都市部を訪問するたびにわたしは抱きます。

日本は協調性を大事にするためか、劇的な改革に対しては慎重なところがあるようにみえます。別に「アメリカが改革上手で日本は保守的」などというつもりは毛頭ありませんし、そもそも改革を賛美したいわけでもないのですが、ただ、人権保障にめぐる取り組みに関していえば、実験的な取組でかまわないので、日本はもう少しチャレンジしてみてもいいのに……と思うことがあります。

そのために、学術(アカデミクス)が改革を検討するための根拠(エビデンス)を集積することが大切になります。もしもあなたがこれからの数年間を大学で過ごそうと考えているのであれば、どんな社会で暮らしたいか、そのためにどんな研究をしてみたいかについても、ぜひ考えてみてください。わたしたちはそのお手伝いをします。

※ニューヨーク市郊外にある、とある入所施設の概観。アメリカでは、子どもの入所施設がたくさん閉鎖されています。「たとえハイクオリティでも、子どもが施設で暮らすのは必要最小限にすべき」という政策決定をして、それをスピーディーに実行したためです。日本は日本で、このような改革が本当によいものなのか、研究をする必要があります。

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