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貧困問題と社会保障

⽣活や福祉を向上させるためには、
制度をきちんと知ることが⼤事
NISHIMURA TAKANAO
西村 貴直
担当科目
社会保障論Ⅰ、社会保障論Ⅱ、公的扶助論 他
今、もっとも関心がある研究テーマは?
貧困に対する人びとの見方を理解すること
貧困問題に対する制度や政策がどのような考え⽅のもとでできあがってきたのか、その背景や社会関係を明らかにすることです。⼤学院⽣だった1990年代末から2000年代初めに、当時のアメリカやイギリスで貧困者を強く敵視する社会的傾向が⽣じてきたことを知り、その理由を探ることが研究のきっかけになりました。やがて⽇本でも「格差社会」という言葉が注目されるようになり、以後、急激に貧困問題が深刻化していきました。⼀時期は貧困を社会問題としてちゃんと論じようという雰囲気があったように思いますが、今は逆に貧困状態にある⼈びと自身を責めるような傾向が強く、それが制度や政策のあり方に大きく影響していると感じます。貧困状態にある人もない人も、貧困に陥るのは多かれ少なかれ本⼈に問題があると考えてしまい、⽣活保護を受けることを好ましくないことだと思ってしまう。なぜそのように考えてしまうのか。その理由を探ることが研究のモチベーションになっています。
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その研究における醍醐味や、やりがいは?
社会のしくみ⾃体に目を向ける
研究を進めるなかで、いつの時代も、どの社会にも、とくに政治や社会を動かす力をもつ側に、一部の人びとが貧困な状態におかれたままであったほうが「都合がいい」⼈たちが少なからずいる可能性を考えるようになりました。不安定な就労形態を一般化させることで不況を乗り越え、経済成長を促そうとしてきた近年の政策動向を考えればわかりやすいと思います。この社会のなかには、貧困状態にあることを強いられている人びとが確実にいて、しかし、その当事者たちは貧困状態にあることを自己責任であると思わされ、「最低限度の生活」を維持するための制度すら堂々と使えない状況におかれている。そして最も重要なのは、そのような状況を“当たり前”の前提条件として、今の政治や社会が動いていることです。貧困の当事者を責めるのではなく、⼀部の弱い⽴場の⼈たちにしわ寄せがいくような社会のしくみに目を向け、その改善が図られなければ、貧困問題の解決にはつながらないと思います。
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ご自身の研究領域で、どのように社会をデザインしますか?
制度をきちんと知ることが⼤事
最近の社会保障をめぐる議論をみていて気になるのは、人びとを制度から「遠ざける工夫」ばかりに焦点が当てられていること、そして議論の場には制度を「利用している人びと」の声がほとんど届いていないことです。多くの人びとは「社会保障はできるだけ小さい方がよい」という考え方をいつの間にか身につけてしまっているのではないでしょうか。しかし、社会保障を構成する制度の成り立ちや機能を正しく知れば、それぞれの制度を堂々と適切に利用することこそが自分と家族の生活を守り、社会の安定に貢献するものであることがわかると思います。もちろん、既存の制度には不十分な点がたくさんありますし、時代に合わないしくみも残されていることも確かです。社会保障を日常生活を維持して福祉を向上させる手段として多くの人びとが使えるようにしていくこと、そして時代に合わせて制度のしくみを柔軟に変化させていくことが、よりよい社会をつくることにつながると考えています。
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