関東学院大学社会学部では、2015年度から、コロナ禍を除き、地域包括支援センターと共同で認知症サポーター養成講座を開催しています。
今年度も高齢者福祉論(担当教員:鄭 熙聖)の授業内で、柳町地域ケアプラザ(社会学部が所在する地域の包括支援センター)と認知症サポーター養成講座を実施しました。
2024年のユーキャン新語・流行語大賞で「ふてほど」という言葉が選ばれました。昭和と令和の異なる常識や価値観のギャップが話題となりましたが、認知症を取り巻く環境も時代とともに変化しています。認知症という言葉も、2004年に厚生労働省によって「痴呆」という用語が廃止され、現在の「認知症」という言葉が行政用語として統一されるようになったものです。また、数年前から「徘徊」といった言葉についても「ひとり歩き」や「外出中に道に迷う」等と言い換えられるようになってきています。
そして、今年は認知症基本法が施行(2024.1.1)されました。認知症の人の尊厳を守りながら、希望を持って社会生活が送れるように認知症施策を計画的に推進し、最終的には認知症の方も含めた国民ひとり一人が個人を尊重し支えあえるような共生社会を目標としています。
認知症サポーター養成講座では、認知症を取り巻く環境や社会の変化のほか、当事者の人やご家族の気持ち、地域社会で見守っていく仕組み等を学びます。地域住民の方が認知症当事者を演じてくださる寸劇には学生も一緒に参加しました。 家族に認知症の人がいる学生からはどのように接したらいいかという質問も出て、認知症を身近なものとしてとらえている様子がうかがえました。
共生社会の実現は、日本だけでなく世界的にも重要な課題の一つと言えるのではないでしょうか。認知症について学ぶことで学生ひとり一人が現代社会の課題や共生社会について思索していくきっかけになればと思います。
学生たちのリアクションペーパーから(抜粋)
・ 認知症と診断された家族がおり、そのケアに家族みんなでストレスを感じることがある。今回の講義で自分たちだけがしんどい思いをしているのではないことを知り、心が軽くなった。
・ 講義を受けて、認知症当事者の人が一番不安になっていると思った。それをしっかり理解して接し、本人の気持ちを聞くことが非常に大切だと思った。
・ 認知症は他人事とは言えず、自分でも家族でも誰にでも発症しうる病気であるため、すべての人がそれを知り、理解するべきだと思った。
・ 認知症という誰もがなりうる病気について、こんなに詳しく学ぶ機会がなかったので、今回の講義はとてもためになった。
・ マイナスなイメージがあったが、正しい知識や接し方を学んだおかげで認知症に対するイメージが変化した。認知症があるという理由やかかわり方がわからないという理由で認知症の方を地域から孤立させてはならず、地域の一員として受け入れ、地域住民としての自覚を持たせることが必要だと感じた。
・ 認知症サポーターとして、認知症への差別や偏見をなくし、共生社会の一員として活動したいと考える。