「こうのとりのゆりかご」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。簡単にいえば、「子どもを妊娠・出産したけれども育てられない。でも相談窓口にも行くことができない」という事情を抱えた人たちが、緊急避難的に子どもを社会に託す窓口みたいなものです。
この仕組みは、熊本県内の医療機関が海外の取り組みを参考してつくったものです。開設された当初は「子どもを棄てる場所を作るなんて、ありえない!」とかなり強い批判を浴びたものですが、最近は風向きが変わり、「そういう場所が全国各地にあればいいのにね!」という賛同者も増えてきました。
ところで、このようなところに託された子どもたちは、その後、どうやって暮らしていくのでしょう。
その選択肢のひとつが、「特別養子縁組」といわれるものです。今年度は、子ども家庭福祉を学ぶゼミ生たちと、「特別養子縁組」について学び、考えることをしてきました。その中で、「子どもを育てたい」と希望するおとなを探せば問題解決とはいかないことがわかってきました。
(写真)ゼミ生たちが自分たちの学びの成果を報告書としてまとめてくれました。
みなさんは、血のつながらない子どもを自分の生活の場に受け入れ、長期にわたって「自分の子」として育てていく上で、どんなことが起こるか想像がつきますか? また、どんな家族・地域・社会であれば、子育ての過程で現れる障壁を乗り越えることができると思いますか?
「子どものため」という考え方はとても大事ですが、それを実際に形にしていくときにはしんどさも伴います。そのしんどさをわかった上でなお、特別養子縁組を社会の課題として引き受けていくことが求められています。「その課題にソーシャルワーカーとしてチャレンジしてみたい」――そう思う方がいれば、ぜひ本学社会学部の扉を開いてみてください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
◆ 教員コラムバックナンバーはこちら ◇
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆