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『社会福祉士』は『社会』がついていることが重要なのです

教員コラム
2021.07.06
現代社会学科
石川 時子

 ソーシャルワーカーという仕事はご存じでしょうか。日本では国家資格として、社会福祉士という資格が1987年からあります(これに少し遅れて1997年から精神保健福祉士という資格もありますが、本学では取得できないので割愛します)。受験科目は19科目、合格率30%程度なのでなかなかの難易度なのですが、社会の認知度は今一つ、と思いながら20年以上経ちました。理由の一つには、名称独占資格といって、「資格を取得した者しか名乗ることができない」(=名乗らなくても福祉系の仕事は就くことが出来る)資格ゆえ、医師や弁護士のように、業務独占の資格ではないことが挙げられます。また、「社会福祉士=ソーシャルワーカー」ではありません。ソーシャルワーカーは職業であって資格ではないので、その仕事に就き、自負していればソーシャルワーカーと名乗ることは自由です。このあたりの混乱が、社会福祉士の認知度を弱めているところかと思っています。職業団体としては、日本ソーシャルワーカー協会、日本社会福祉士会、日本医療ソーシャルワーカー協会、日本精神保健福祉士会の4つの団体があります。

 歴史を振り返ると、ソーシャルワーカーは、社会的承認を得るために、学問体系と実践領域で格闘してきたことがわかります。その変遷は、「倫理綱領」の改訂に読み取ることが出来ます。改訂の度に、それは長文化していき、ソーシャルワーカーの使命をどのように表現すべきか、討議と苦悩があったことがわかります。2014年に国際ソーシャルワーカー連盟でソーシャルワークの新たな定義が採用され、約6年かけて昨年2020年秋に日本版のソーシャルワーカーの倫理綱領が採択されました。(参考リンク;日本ソーシャルワーカー協会HPより倫理綱領のページ 倫理綱領|日本ソーシャルワーカー協会 (jasw.jp)

 改訂のポイントは多々ありますが、ここで注目しておきたいのは、「社会正義」と「人権」がこれまでの倫理綱領の中核であったものに加え、「社会変革と社会開発」「社会的結束」、「集団的責任」「多様性の尊重」と言ったワードが新たに登場したことです。一見して、社会を変える、社会に対して訴え働きかける、というニュアンスが強くなっている印象があります。

 目の前の人の相談に乗り、支援する、というのは比較的イメージしやすいのですが、「社会正義」や「社会変革」、そもそも「社会」ってなんだ、ということを考え、教えるというのは大変難しいことです(当然、コラムで収まる内容ではないのです…)。このテーマを、本学の社会学系の科目、社会福祉学系の科目ほとんどで、繰り返し様々な角度から取り上げていきますので、4年間一緒に学んでいってくれたらと思っています。

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