2024年12月12日から13日にかけて、「社会学の実践b」の授業の一環として、福島県の浪江町、双葉町、富岡町、楢葉町、いわき市を訪問しました。ご存じのとおり、2011年3月11日に発生した東日本大震災と、その後の福島第一原発の事故により、大きな被害を受けた地域です。最も広い時には福島県の約12%が避難指示等の対象区域になっていましたが、徐々に縮小し、2021年3月には約2.4%となっています。また、双葉郡の8町村では2023年の時点で15914人が生活をしています(住民登録人口は57302人)。
今回訪問したのは、原子力災害考証館、震災遺構・ 浪江町立請戸小学校、東日本大震災・原子力災害伝承館、東京電力廃炉資料館、とみおかアーカイブ・ミュージアム、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館です。これら施設は、東日本大震災・原子力災害伝承館のように県立のものもあれば、東京電力や自治体、そして市民団体が設立・運営しているものもあります。非常に巨大な被害をもたらした災害でしたので、人々の思いも様々です。今回の訪問先も含めて、現地には多くの資料館や展示館がありますが、それぞれが、それぞれの立場からの思いを発信しています。
学生たちは、これらの施設を訪問し、資料を見学したり、お話を伺ったりするなかで、震災と事故の被害の甚大さや復興の現状を知るとともに、人々の視点の多様性を学びました。学生の強い要望があって訪れた請戸小学校では、見学しながら「なつかしい」と言っている学生もいました。小学校は全国で同じような形をしています。自分が通っていた小学校の姿を思い出しながら、それがここまで破壊されてしまうのかと、津波の威力を認識したようです(写真参照)。今の学生は、震災・事故の時は小学校低学年でした。テレビの津波の映像などが記憶に残ってはいるものの朧げであり、その後に学校の授業等で当時の詳しい状況や現在の被災地の様子を学ぶ機会もありませんでした。今回の訪問により、初めて知ったり、実感したりしたことも多かったようです。
2022年12月に続いて、この授業としては2度目の訪問となります。前回もそうでしたが、現地のみなさんは学生の訪問を歓迎してくださいますし、学生たちも熱心に見学をし、お話を伺っています。それぞれに発信されていることを受け止めることによって、わずかではありますが復興のお力になれることを願っています。
参考資料:
双葉郡未来会議「ふたばいんふぉ はなれていてもおとなりさん 2023-2024 Winter/007 final issue〜改訂版〜」
福島県、2021、「〜ふくしまの現在(いま)〜復興・再生のあゆみ(第6版)」
復興庁、2021、「福島復興の概況」