過日、中国人の友人から頼まれて、日本の介護ビジネスについて知りたいと中国からやってきたビジネスマンの方々に、日本の介護保険と介護サービスについて少しだけ話をさせていただきました。
中国では一人っ子政策の結果、社会の高齢化が急速に進行し、高齢者の介護問題が大きな社会問題となってきています。中国政府は、以前から、国民に自助と互助を求めてきました。つまり、高齢者自身と家族で努力をすること、世話や介護の足りない部分は、地域の助け合いやサービス提供の仕組みによって補うこと、その相互扶助のためには若干の財政支援を行う、というものです。
今回いらした中国の方のお話によると、政府は、近年、民間事業者による施設整備を推進しようと、1ベッドに付きいくらといった助成金を出すようになったので、大規模な老人ホームが沿岸部に続々と建設されたのだそうです。ただし、これらの多くは、自立している高齢者を対象としたものが多く、介護サービス付きの老人ホームはまだわずかであること、また、建設された老人ホームには空きが多いところも少なくないとのことでした。
一人の方に、日本には、介護サービスの拡大モデルはあるのか?と質問を受けたときには、すぐにはその意味がわかりませんでした。聞き返してみると、どうやら、マクドナルドとかユニクロのように、顧客のニーズをうまくつかみ、円滑なサービス提供によって利益を順調にあげていくことのできる施設開設と経営方法のノウハウを知りたい、ということのようでした。
彼らには、ホームヘルプサービスやデイサービスといった居宅サービスに関する関心はほとんどないようでした。居宅サービスがビジネスとしては成立しないと理解していたからかもしれません。今回の簡単なレクチャーをする前に、今年の3月に卒業し、民間の介護サービス事業者に就職したゼミ生に電話をしてみたところ、彼は「居宅サービスだけの事業所は、財政的にホント厳しいですよ」と言って、就職1年目なのですが、管理職のように、今後の事業展開の課題について話していました。