サッカー日本代表戦の視聴率は○○%、放送中の大河ドラマの視聴率は△△%で歴代何位、というニュースをご覧になったことはありませんか?昨年であれば、「家政婦のミタ」という番組がいかに人気かを、視聴率の数字を使って強調している記事をずいぶん見かけました。
では、この視聴率はどうやって調べているのでしょうか。視聴率を調べているのはビデオ・リサーチ社という会社です。ホームページもありますから、気になる人はご覧になってください。このホームページには視聴率の調べ方も書いてあります。正確には3つの方法がありますが、わかりやすいのは、メータを使って調べるというものでしょう。テレビにメータを付けておいて、そのデータを会社に送るというものです。
……慌てないでくださいね。今、あなたのご自宅にあるテレビを確認しても、ほとんどの場合、そうしたメータは付いていません。テレビを解体してもメータは出てきませんので、むやみに壊さないでくださいね。
じつは、このメータが取り付けられているのは、ごく一部です。関東地方では、テレビは約1500万世帯で保有されています。そのうち、メータが取り付けられているのは600世帯しかありません。1500万世帯分の視聴率を調べるのに、わずか600世帯。えっ、そんなに少ないの?というのが正直な感想かもしれません。じっさい、みんなの意見を調べるとしつつ、ごく一部の人の意見しか聞いていないというのは、あまりよいことには感じられないでしょう。
もちろん、このやり方にはしっかりとした裏づけがあるので、不適切ではありません。ビデオ・リサーチ社のホームページでは、このやり方についての解説も掲載されています。こちらもぜひご覧ください。…と言いたいところですが、読んでみてもちんぷんかんぷんという人が大半だと思います。
本学部の現代社会学科をはじめ、全国の大学にある社会学部や社会学科の多くでは、社会調査士という資格を取ることができます。視聴率調査は、この社会調査の1つです。そして一部の人しか調べないというやり方は、視聴率調査だけでなく、社会調査全体で頻繁に用いられているものです。ビデオ・リサーチ社の説明も今はちんぷんかんぷんでも、社会調査の勉強をして、資格が取れるころには、「ああ、よく使う、あのやり方ね」というような具合になります。
社会調査という言葉はあまり聞いたことがないと思いますが、マスコミによる世論調査など、現代社会では広く実施されています。その実施方法についてきちんと理解しておくことは、とても重要なことです。
社会調査のやり方が分かると、世の中の見え方が変わります。数学が苦手でも、まあ、なんとかなります。深く社会の仕組みを知りたいという方は、ぜひ、社会学の勉強を志してください。