「東アジア共同体論」は、どこに行ってしまったかのように緊張する北東アジアであっても、民衆の結びつきは、しっかりと繋がっています。私は、2010年から2012年まで、ゼミ生と一緒に、毎年韓国ソウル市へ合宿して来ました。それ以前にも何度か韓国を訪問していますが、2010年には、中央大学校の日語日文学科を訪ねました。
そこで頂いたのが、下位文化研究センター編『学校で習わない日本映画-わくわくするシネマ-』というハングルの本でした。私は、まったくハングルを読めません。それでも何が書いてあるか知りたいと思い、必死にハングル・キーボードを叩きました。
この本は、「シネマ55本を通して、日本の文化コードを読む」と書かれています。具体的な映画名ですが、いくつか紹介すると「下妻物語」、「タッチ」、「電車男」などが挙がっています。「下妻物語」は、韓国では、「不良姫(神風ガール) モモコ」というタイトルで、2005年9月2日に封切りとなりました。「タッチ」は韓国では未公開のようです。「下妻物語」の英語版が、Kamikaze Girlsと紹介されたので、そこから来たのですね。また主人公は深田恭子扮する龍ヶ崎桃子でした。
実はこの本で私が興味を覚えたのは、文化コラムです。紹介されていたのは「 お弁当」です。「“日本”と思い浮かぶものの一つがまさにお弁当である。……視覚、味覚的にも優れており、日本人だけでなく、日本を訪れる観光客にも大きな人気を得ている。」と書かれてます。確かにお弁当は、日本文化ですね。思わず駅弁が食べたくなります。最近は、私の場合、お昼にコンビニや仕出し弁当が多いですが、以前は良く手作り弁当を食べました。韓国のコンビニには、韓国風おにぎりはあったけれども、お弁当はなかったような気がします。
いずれにしても、映画論よりも文化コラムに興味を覚えたのは、皮肉でした。読めない本を読むんだからしょうがないかというところです。映画の話のついでに、原作が日本人で日本と韓国で製作されたドラマ・映画について語りましょう。なかでも注目されるのが、東野圭吾原作の「白夜行」と「容疑者Xの献身」です。韓国では「白夜行 -白い闇の中を歩くー」と「容疑者X天才数学者のアリバイ」として映画化されました。単なるリメイク版を超える水準の高さです。両国版を見比べ、さらに小説も読んでみたいと思う程の出来栄えです。「白夜行 -白い闇の中を歩くー」のキャッチフレーズは、「14年前の密室殺人、容疑者の娘と被害者の息子。運命に翻弄されながら、白い闇の中で二人がつかんだものとは-」となっています。
『学校で習わない日本映画-わくわくするシネマ-』
映画「タッチ」
文化コラム「お弁当」