私は、日本とベトナムとシンガポールを社会学的に研究しています。
2000年1月、ハノイ郊外の日本文化経済学院日本語センターを訪問しました。
通称DOWACENと称する沖縄・ベトナム友好協会の日本語センターです。
ここでは多くのベトナムの若者が熱心に日本語を学んでいました。
なんと安土桃山時代には、中部のホイアンに日本人町すら存在したのです。
これに先立って琉球王朝はベトナムと交易を交わしていたので、
日本とベトナムの交流史はかなり古いです。
ハノイ郊外DOWACEN
歌謡曲の世界でも、実は交流があります。天童よしみの曲に『美しい昔』があります。
実はこの曲ベトナムの国民的作曲家チン・コン・ソンが作ったディエム・スア
(美しい昔)の日本語版なのです。
逆にベトナムでよく歌われる曲にグォイ・ティン・ムア・ドン(冬の恋人)があります。
この曲、ベトナムでは、中国の曲だと思われていますが、実は中島みゆきの
『ルージュ』という、ちあきなおみのために1977年に作った曲なのです。
1999年夏、私がハノイで客員教授として赴任していたとき、同僚の日本人教師が
この「冬の恋人」 を歌っていたので、良く覚えています。
「冬の恋人」のジャケット
中部の中心都市ダナンで夕食を食べた後、聞いたことがある曲が洋品屋から流れて来ました。
暗闇の中で、なんだ?なんだ?と思っていますと、なんと中村雅俊が歌っていた『ふれあい』でした
(歌とは関係ないですが、友人のシンガポール国立大学のタン・レン・レン博士は、
「ふれあい」という日本語をtouchという風に英語に訳しています)。
ダナン
この曲、実はリンダ・チャン・ダイというベトナム人女性がオウタムン・ドリーム(秋の夢)
というタイトルで英語で歌っているのです。そして彼女は、ジュリー(沢田研二)の
『時の過ぎゆくままに』を4:55というタイトルでカバーしています。
ベトナム(越南)の越は越人から発しています。しかし、漢字の越には、
遠ざかるという意味があります。日本から遠いようで近いのがベトナムなのです
(現代社会学科 橋本和孝)