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「ジェンダー・バランス」私のまわりは?

教員コラム
2021.04.05
現代社会学科
小山 弘美

 コロナ禍以前は、毎週のように研究のためのフィールドワークに出ていましたが、コロナ禍後は、オンラインの交流会や講演会に出席することが多くなっています。先日は子どもの遊びに関わる活動をしているNPO法人の事務局長の方のお話をうかがう機会がありました。この方は、父子家庭として2人のお子さんを育てる中で、この活動に関わるようになった方です。1990年代の当時は父子家庭が珍しかったため、「祖母に預けられないのか」などと何度も役所で取り合ってもらえず、保育園にも入れてもらえなかったことなど、父子家庭の子育ての大変さが伝わりました。内容はもっとポジティブで面白いお話がたくさんだったのですが、このようなジェンダーの問題がところどころ重要なポイントで出てきました。やっと入った保育園では、役員を頼まれて早速役員会に出たら、30人もいる中で男性は1人でした。それから父母会長にもなり、役員会で決定したことが人づてに伝わる中(お母さんたちの噂話)でなかったことになるなどの問題がおき、対処していきます。そうした中で、偏った性別だけで物事を進めると悪いことがおきることに気がつき、辞めるときにそれを伝えたそうです。そうしたら、次の年から3人の男性の役員が誕生したということでした。その後、現在所属しているNPO法人に関わっていくのですが、そこでも男性の役員は1人でしたが、外部との交渉役や会長を務めてきました。それは、交渉しなければいけない先が行政であり、その担当者や責任者が男性であり、子どもの活動を頑張っているお母さんたちが交渉に行っても、どこか下にみられてしまうということがあったからだそうです。
 最近オリンピック・パラリンピックの組織委員会でも大問題になったジェンダー・バランスの問題ですが、私も横目で見ながら「国会議員も男性と女性の比率を人口比と同じにしたらいいのに」などと他人事のように考えていました。でも、それは全く他人事ではなかったのです。日本社会学会の理事選挙が近日中にあるため、選挙管理委員の会合で聞いた話です。学会も構成メンバーの女性の比率は30%なのに、女性の理事は10%しかいないとのことでした。「そうか、学会も一緒か」と落胆していましたが、選挙の際にその数字を提示したところ、その時に決定した代議員は女性が3割になったそうです。意識すれば変わるということですよね。
 最初の話に戻ると、「偏った性別で物事を進める」ことの弊害は、男性だけ、女性だけどちらにも起きるのであり、例えばPTAなどの子ども関係の役員は母親の参加率が高いことが多いです。でも、子育てはすべての「親」が責任をおうものだから、きちんとその比率に近づけて役員がいた方がいい。それは学会や大学も一緒です。学会も変わろうとしていることは先に述べました。では大学はどうでしょうか。理事や学長、学部長など男性がほとんどを占めています。社会学部の教員は男女の比率は同等ですが、そもそも大学教員のジェンダー・バランス自体が偏っていることも、問題になってきたことです。ジェンダー・バランスの問題は、まさに他山の石として、足元から見直す必要があります。みなさんのまわりはどうでしょうか。
 
 
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