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どのような「差別」もいけない?――マンガから考えてみる

教員コラム
2020.09.29
現代社会学科
矢﨑 千華


莢子や
決して
人を分け隔て
してはいけないよ
いかなる理由があっても
人を差別しては
いけない
全ての人に
等しくよくして
あげなさい
 
 これは、よしながふみの『愛すべき娘たち』の第3話(前編・後編)に登場する娘(=莢子(さやこ))の亡くなった祖父の言葉です。莢子は、祖父が亡くなる前の3年間、仕事(建築士)をしながら介護をしていました。
 その祖父も亡くなり、莢子は叔母の勧めもあって、何人かの男性とお見合いをしました。そして、事故によって足と耳に障害を抱えることになった男性に出会います。彼との何気ない会話ややり取り、自分を見る綺麗な目、心のうつくしさに触れ、莢子はかつてないほどの心持ちで彼に惹かれていることに気づきます。
 しかしながら、莢子はその男性と結婚することができないのではないかと考え始めます。
 

 
 私たちは、「差別」はいけないことであると学び、またそのように認識しています。もちろん、他者に対して「差」をつけ「不当」に扱うことはあってはなりません。一方、「不当」ではなく他者に「差」をつけ、その人のことを特別に思うこと・特別に扱うこともまた「差別」という言葉に含まれるふるまいであることに違いありません。
 幼い頃から祖父の言葉を当たり前のこととして受け入れ、そのようにして生きてきた(いる)莢子は、人生ではじめて心の中に芽生え始めた、この「不当ではない『差別』」(=分け隔てる)に対してどのような決断をするのでしょうか。実際に、作品を手に取り、読んで、考えてみてもらえればと思います。
 
 
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