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『南シナ海-ベトナムからの発言-』を翻訳して

教員コラム
2020.07.08
現代社会学科
橋本 和孝

 翻訳は、“労多くして益なし”と言いますが、私も結果的に多数の翻訳を手掛けることになりました。その多くは、英語から日本語です。今回訳したシリーズ《ベトナムを知る》の1冊、ディン・キム・フック著『南シナ海-ベトナムからの発言-』(ビスタ ピー・エス、2020年6月15日刊行)は、ベトナム語から日本語への翻訳です。最初にベトナムの地に到着した1997年1月から数えて23年かかって、やっとここまで来たなという感じです。
 翻訳には“労多くして益なし”の例えのように、様々なトラブルが発生します。これらの翻訳談義については、いずれお話する機会があろうかと思います。では今回はどうか。英語から日本語の場合、どうしても日本語にならないことが多いのですが、そのような苦労はありませんでした。その代わり、まるで違う訳になってしまうおそれがあることです。実際、訳が終わって見なおしてみると、文章の意味が通らないなんてことがあるのです。
 また“継続は力なり”と言いますが、正月の元日も、休むことなく日々の作業が必要でした。つまり根気が必要だということです。大学3年生の時(1971年)、「技術論」の授業で“苦悩(Leiden)から情熱(Leidenschaft)へ”と習いましたが、まさに忍耐あるのみです。
 今まで、自分の本がどの位、図書館に所蔵しているのかなんて考えたこともなかったのですが、今回初めてここの出版社のシリーズ《ベトナムを知る》が国会図書館、全国の大学図書館、47都道府県・市町村の公立図書館にどの位所蔵しているかをチェックしてしまいました。『南シナ海-ベトナムからの発言-』が、多くの図書館で所蔵してもらえれば、うれしいですね。
 最後に、この本の最大の主張は、いわゆる「西沙諸島(パラセル、ホアンサ)」「南沙諸島(スプラトリー、チュオンサ)」が歴史地理学的にベトナム領だと、力説したところにあるのです。
 

 
 
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