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エネルギーの選択と社会的仕組み

教員コラム
2011.10.28
現代社会学科
湯浅 陽一

先日、「再生可能エネルギー特別措置法」が成立しました。再生可能エネルギー(自然エネルギー、以下再エネ)は、太陽光や風力、中小水力、地熱、バイオマスなどを指します。石油や石炭、ウランは地下資源であり有限ですが、太陽光や風などは枯渇しませんので、再エネと呼ばれるわけです。

海外ではここ数年、風力を中心に再エネの導入量が飛躍的に伸びていますが、日本での導入は遅れてきました。写真は青森県六ケ所村とドイツの風車群です。六ヶ所村は原子力関連の施設が多く立地しているところですが、風力にも恵まれているため、多くの風車が設置されています。

発電所で作った電気は、家庭や学校にまで運んでくること(送電・発電)が必要です。電気を作って商売をするためには、発電所だけでは不十分で、送電・配電の方法を考えないといけません。

海外では発電所と送電線を保有する会社が分離されているケースが多いのですが、日本では、東京電力などの電力会社が送電・配電に必要な送電線をほぼ独占しています。そのため他の会社が風力発電所で電気を作った場合には、送電線の利用料(託送料)を払って消費者に直接送るか、電力会社に買ってもらう必要があります。ただし東京電力などは他社の風力による電気を買いたがりませんでしたので、風力発電所を作ることは商売になりにくい仕組みになっていました。今回の再エネ特別措置法は、風力発電所の電気の買い取りを、送電線を持った電力会社に義務づけるものです。こうなると商売になりますので、風力発電所などの増加が期待できます。

この送電線の仕組みをはじめとして、電力などのエネルギーには生産・流通のための社会的仕組みがあります。その仕組みは、原子力と再エネとで大きく異なります。エネルギーの選択は、どのような社会的仕組みのもとで私たちが生活していくのかを選ぶということでもあるのです。

私が専門としている環境社会学は、このような社会的仕組みの視点から、エネルギー問題を考えています。

 

青森県六ケ所村の風車群

ドイツの風車群


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