みなさんご承知のように、日本の平均寿命は男女とも世界トップクラスです。
人が長生きすることは喜ばしいことであり、人類はそれを追求してきました。しかし、長命はガンやアルツハイマーを初めとする多くの病気を患う危険性を高くし、介護の必要性を高めることで、家族の負担を重くするおそれがあります。
2000年度から介護保険が始まり、それ以前より介護サービスを利用することが容易になりましたが、それでも家族による介護や援助なしに、要介護の高齢期を過ごすことは困難です。今後、高齢者は一人暮らし世帯や夫婦のみの世帯がますます増えていきます。介護保険を初めとする社会支援体制はいっそう整備される必要があります。
しかし他方で、若い人たちへの教育支援、就労支援、婚活支援、子育て支援、生活支援を社会的に充実させ、若い人々が将来に希望をもてるようにすることも社会の責任です。若い人々が希望をもてる社会でなければ、高齢者は安心して老い衰えゆくことができません。
私の受け持っている高齢者福祉論やゼミナールでは、学生さんたちに、高齢者の福祉(幸せ)のために、社会福祉や介護の制度・サービスは、また、地域社会の支援はどのようにあればよいか、といったことを考えてもらっています。合わせて、政策のありようが今後の自分たちの生活に影響してくることを、多様なデータを通して学び、もっと政治に関心をもつよう、呼びかけています。