入学者選抜情報
ホーム > オルタナティブ教育

オルタナティブ教育

オルタナティブ教育と、活動団体同士のネットワークに着目
FUJINE MASAYUKI
藤根 雅之
担当科目
社会調査の基礎、教育と社会、学校と教育問題 他
今、もっとも関心がある研究テーマは?
オルタナティブ教育と、
活動団体同士のネットワークに着目
私は、『オルタナティブ教育の活動』について研究しています。『オルタナティブ』とは、『主流』や『普通』とされるものに対する『そうでないもの、替わりになるもの』という意味を持ちます。普通の学校とは異なる『学びの場や過ごす場』として、不登校の子どもたちを主に受け入れるフリースクールの活動が最近では注目されていますが、それだけでなく法令や国の基準に関わりなく市民が独自に立ち上げた教育活動にも着目して、その活動をする方々同士のネットワークの在り方について研究しています。
研究のきっかけは、私自身が学校に行きにくかった経験があり、その経験を持ちつつ大学で教職課程を学んでいた中で、従来の学校教育の目線から不登校問題が説明されるときに感じた違和感からでした。「いかにしてみんなを普通の学校に通えるようにするか」を論ずるのではなく、「そうではない考え方でもいいじゃないか」と感じ、さまざまな理由で学校に行けない、または行かない子どもたちの居場所活動であるフリースクールに興味が湧きました。さらに、私自身もボランティアスタッフとして参加してみて「スタッフや運営者の人たちは、なぜ『普通じゃない』活動に取り組んでいるのか?」という疑問が湧き、研究に取り組みました。中でも、オルタナティブスクール同士のネットワーク活動の調査を行い、それぞれの団体ごとに考え方が異なるにも関わらず、どうして共に活動しているのかを研究してきました。『普通』とは違うロジックの活動について、研究者の一方的な目線で見るのではなく、その人達が何を重視して活動しているのかに重きを置くように心掛けています。
もっと見る
その研究における醍醐味や、やりがいは?
ひとつの生き方が全てではなく、
さまざまな生き方があることを認識する
『普通』の教育現場やその研究では、「いかにそれが良いものであるか」、「もっと良くするためにどうしたらいいか」を追求しています。それに対し、オルタナティブ教育の研究を通して見えてきたことは、その実践をする人たちが自分たちの活動に自信を持って取り組んでいる一方で、自分たちの活動が完璧ではないと認識していることでした。あくまで調査に協力してくれた活動についてのことですが、そこでは各々の考え方が社会の共通価値とはとらえられず、自分達とは異なる教育活動や教育理念のことも大切にしながら一緒にやっていくことが模索されていました。一般的に、教育では「子どもたちに対して、『正しい生き方』をいかに伝えていくか」ということが重視されるけれども、自分が思う『正しい生き方』を唯一の正しさと認識するのではなく、そうではない生き方、つまり『オルタナティブな生き方』も社会にはたくさんあるし、そういった観点からの教育もありうるわけです。よく「多様性を認める」とか言われていますが、「普通じゃないものも認めてやる」という目線ではなく、「そもそもこの社会は普通に考えられているよりも多様だ」という前提に立つ事が必要だと思っていて、それは実際に様々な活動や生き方に関わり研究することで立ちうる視点かなと思います。ただ、社会において『普通』から外れて生きていくことは決して簡単なことではないので、オルタナティブな活動が必ずしもオルタナティブな生き方につながるわけではないのですが、そういった矛盾も含めてこの視点から教育を研究することが大事だと考えています。
もっと見る
ご自身の研究領域で、どのように社会をデザインしますか?
小さな違和感を可視化し、
社会の課題として向き合う
『オルタナティブ』な考え方を発信してみることが、社会をデザインすることに繋がると思います。普通とされていることに対してオルタナティブもあるという前提に立つことが、社会を考えるのに必要な視点です。普通に学校に行っている人も、学校の普通のあり方に違和感や理不尽さを感じうるわけです。「普通だから」と受け入れて頑張るのも大事ですが、それだけではなく、様々な立場の人が違和感を含めてそれぞれの意見を発信する場が社会の中に複数あることが大事だと思います。
社会には「当たり前だからやらなくてはならない、できるようにしなければならない」という意見が強くあり、個人が力をつけて困難を乗り越えられるようにする教育や支援が求められています。しかし、一人ひとりが経験しているしんどさを社会課題として扱うためには、そうではない意見を出していかなくてはいけない。異論反論が出ないのが良い社会と考えられがちですが、個人の問題と扱われがちなことを社会課題として扱うためには、その違和感を社会の中で可視化し続けていく必要があります。ただ、オルタナティブな活動だからといってすべての異論が出せるわけでもないので、研究する立場としては活動を実践する人たちに問いかけ返すことも必要と考えています。
学生の方々には、ささいなものでもオルタナティブな意見を出していいことを知って欲しい。今まで受けてきた教育や社会で大事だとされてきたことに対して、別の枠で考える生き方もあることを知って欲しい。社会から完全に逸脱することはできないけれど、それらが生きる上の全てではありません。『普通』ではない活動に参加したり研究したりすることで知見が増し、オルタナティブな視点を持つことが大学教育だからこそできると思います。
もっと見る

ADMISSION

入学者選抜情報
関東学院大学では、受験生一人ひとりが実力を発揮できるように、
多彩な選抜試験制度を用意しています。
下記から受験方式、日程、受験可能な学科などを絞り込んで、あなたに最適な受験方法を探してみてください。