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メディア社会論

未来を予測するメディアとして
ディズニーランドに注目する
ARAI KATSUYA
新井 克弥
担当科目
メディア論、集合行動論、メディア・コンテンツ演習 他
今、もっとも関心がある研究テーマは?
ディズニーと日本社会の近未来
「ディズニーランド、なんかヘン」。その違和感に気づいたのは2000年前後のことです。’83年のオープン当時、僕は東京ディズニーランドがある千葉県浦安市に住んでいました。子どものころからディズニーの絵本や映画に親しんで育ち、また開園時にはキャスト(従業員)を経験したこともあって、これまで数え切れないほど頻繁にパークを訪れてきました。最初に妙な感覚にとらわれたのはキャストをしていたとき。周囲が洗脳されたようにスッとディズニーの「設定」に入りこんでいったんです。この異様な構造をのちに突きつめると、そこにウォルト・ディズニーという、変人で説教好きの頑固オヤジがいることに気がつきました。彼のやり方は、いわば「ウォルト主義」。そこは自らの理想を完璧なまでに統一させた「世界」。いったん足を踏み入れれば誰もが魔術にかかり、世界と一体化して陶酔する仕掛けがありました。ところが’00年ごろから明らかに魔術が薄れている。その現象を読み解くうちに日本社会の近未来が見えてきたんです。
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その研究における醍醐味や、やりがいは?
情報とメディアが与える影響
東京ディズニーランドの登場によって、その情報が統一された「魔術化」したシステムが儲かると学んだ企業が、1990年代に入ってAEONなどの大型ショッピングモールを展開。居酒屋やレストランなどもテーマパーク化していきました。その一方で、本家のディズニーランドからは肝心の「ウォルト主義」を感じることが少なくなった。とりわけ2010年以降、SNSの発達につれてパークを訪れたゲストが自由に好きなところだけを切り取って情報を発信するようになりました。また、“制服ディズニー”“おそろいコーデ”など、ディズニーの「物語」とは何の脈略もない各自の楽しみ方をするゲストがパークを闊歩し、新作のグッズを求めてコレクションするなど、ディズニーオタク=Dオタが急激にパークを席巻し始めたんです。Dオタはそれぞれに自分が見ている世界だけを愛するので、統一された「世界」は形骸化され、そのDオタにディズニーランド側が応えた結果、今やパークはディスカウントストアのドン・キホーテのような何でもありのごちゃ混ぜの殿堂に…。
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ご自身の研究領域で、どのように社会をデザインしますか?
メディアが持つメッセージが情報化社会を変える
僕が研究している「メディア論」との関わりでお話しましょう。メディアとは「情報媒体」であり、メッセージを伝える手段のことですが、実はメディア自体がメッセージを持っていて、その合体で伝わってくるのが情報です。そしてディズニーランドも、まさに「メディアのメッセージ性」でできあがっています。たとえば、タワーオブテラーがたった3回しか落ちないのにワクワクそして絶叫するのは、乗る前にボロボロのホテルや蜘蛛の巣、壊れたエレベーターを見せられ、それらの情報に幻惑された後にライドに乗るから。心理的に操作された効果的なメッセージの伝え方なんですね。
さて、今やDオタランドと化しているディズニーランド。でも、考えてみれば、実はその細部にこだわる性質こそが日本の文化であり、日本人ならではの性格を表しているようにも思えます。今後、日本人の思考はますますオタク化し、情報も消費も、よりニッチな要望に応えて細分化していくでしょう。そんな未来社会をパークが先取りして見せているように思えませんか。
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