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自然と教育

同じ文化にいながら、違う世界で生きる「多自然主義」
KUBOTA EISUKE
久保田 英助
担当科目
教育学、人間形成論、教育原理 他
今、もっとも関心がある研究テーマは?
人間中心主義を脱し、
多種共同体に生きる道徳とは
人間だけを見るのではなく、人間以外のあらゆる動植物との関係性を重視するマルチスピーシーズ(多種)共同体の形成に向けた「道徳」の可能性について研究しています。今までの道徳は、人間の繁栄を追求するための習慣や規範でしたが、それではもう社会の安定を維持しえないことに人々は気づきはじめたのではないでしょうか。豊かで安心であると信じられてきた私たちの生活が深刻な環境問題やコロナ・パンデミックを引き起こすなど、逆に人間の生存を脅かしています。そこで私は、人間中心主義を脱した道徳の可能性を探ることにしたのです。実は、本当のきっかけは、最愛の飼い猫の死でした。人間は、「大義」のもとに戦争を起こし、人間であることをいとも簡単に放棄してしまいます。しかし、猫は、死ぬその瞬間まで猫であることをやめません。こうした姿に私は感動し、人間は猫などの動物、さらに広く言えば「自然」からもっと学ぶべきだと考えたのです。サグラダ・ファミリアで有名なスペインの建築家ガウディは、「答えはすべて自然の中にある」と言っています。ガウディは芸術のことについて言及したのですが、人間の生き方についても当てはまるのではないでしょうか。人間に従属するものとして考えられてきた自然の中にこそ、行き詰った人間社会を立て直し、人間がより人間らしく生きるための道徳が隠されていると考えています。
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その研究における醍醐味や、やりがいは?
同じ文化にいながら、
違う世界で生きている
人間と猫、猫と虫のように、人間と非人間、非人間と非人間の関係性に着目していく中で注目したのが、子どもと自然との関係でした。環境教育の一環で、子どもたちと一緒に海に潜ったり、山に入ったりする中で、子どもと自然のいきいきとした関わりに圧倒されることが多くあります。同じ場所で私と同じものを見ていても、子どもたちはまったく違った見方をしていることに驚かされます。大人が見ている世界と子どもが見ている世界とは全く違うんですね。自然は唯一で、文化がたくさんあると考える「多文化主義」ではなく、文化は一つで自然が複数あるとする「多自然主義」の考え方は、同じ文化を持つ私たちが、実はそれぞれが別の自然の中に生きているという意味として私は捉えています。そうした考えにもとづいて子どもを観察すると、独特の視線で自然と関わろうとしているのに気づかされます。このように常に新しい発見があるこの研究活動はとても楽しいだけではなく、私自身を古い道徳のしがらみから解放されたように身軽にもしてくれます。これも、この研究の醍醐味だと自分では思っています。子どもたちの多くは本当に生き物が好きで、時間を忘れていつまでも同じ場所で見ていたり、生き物のちょっとした動きの中に面白さを発見したりしています。そして面白いと感じたことを、すごい集中力で何度もやり続けます。私も時間を忘れて子どもたちと同じ目線で観察しているうちに、こちらまで対象物が面白く見えてくるので不思議です。
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ご自身の研究領域で、どのように社会をデザインしますか?
今までの常識を疑うことでこそ生まれる、
新しい道徳観
社会性を備えた「大人」という存在に対して、大人が手を差し伸べなくてはならない未熟な存在である「子ども」や「猫」。このような常識を解体することなしに、新しい社会はデザインできないと思っています。そこで大切なのは、望ましい社会の形を先に決めてしまわないことです。多種共同体の形は人間だけでは決められないからです。こうなるべきだと人間、そして大人が予測して社会をデザインするのではなく、子どもたち、様々な動植物、さらには無機物も含めて、あらゆる存在との時々刻々の関係性を大切にし、子どもや動植物が持っている力や智恵、創造性を最大限に引き出すことに力をそそいでいけば、おのずと多種共同体としての社会がデザインされていくはずです。もちろん、その中には学生も含まれています。学生が見て触れて感じている自然、そしてその自然とのかかわりの中で紡ぎだされる豊かな創造性。こうした学生一人一人の可能性を最大限に発揮できる社会にするためには、どのような道徳が求められるのか。学生と一緒に観察し、実践しながら考えていきたいと考えています。また、学生には、将来設計に頭を使うことも大切ですが、猫のように、今・ここを徹底的に楽しむことも大切にしてもらいたいですね。
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