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やっかいな「う」の話

教員コラム
2017.10.27
現代社会学科
湯浅 陽一

 先日、出張で北海道に行ったときのことです。レンタカーで余市町というところを通りすぎたのですが、何やら見慣れた言葉がたびたび、目に入りました。そのときは、「そうかあ」としか思わなかったのですが、帰りの飛行機の中で、「もしかしたら、使えるかもしれない」と考えるようになりました。
 
 海外から日本企業の視察に来た人が、日本語で「あなたの会社の組織は素晴らしい」と言おうとしたのに、「あなたの会社の葬式は素晴らしい」となってしまったという話が、ロシア語通訳として著名だった米原万里さんの著作『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』の中で紹介されています。「組織」(そしき)と「葬式」(そうしき)の違いは、日本語ネイティブスピーカーにとっては、歴然としたものです。しかし、他の言語を話す多くの人にとって、伸ばす「う」の音の扱いは、非常に分かりにくいもののようです。
 
 私の名前は陽一(よういち)で、この「う」の音が入ります。ひらがなをそのまま英語のアルファベットに置き換えるとYouichiになりますが、海外に行くと、Youは「よう」とは読んではもらえません。「ユー」になりますよね。これを「よう」と読んでもらうように説明するのはたいへんなので、パスポートなどには、Yoichiと「う」の字を除いた書き方をしています。こうすると、「よいーち」など、比較的「よういち」に近い音で読んでもらえます。
 
 同じ学会には、「こういち」さんや「りょういち」さんがいますが、やはり、アルファベット表記では、Koichi、Ryoichiとしています。メジャーリーグで活躍する「いちろう」選手は、アルファベットではIchiroで、やはり「う」の字は含めていません。「とうきょう」もTokyoですから、「う」は含めないのが一般的と言えるでしょう。海外の人にとって「う」の音は分かりにくいため、省略する方法が主流になったのではないかと思います。
 
 すでにお気づきと思いますが、余市町もアルファベット表記ではYoichiになり、私の名前と同じになります。車を運転していると、地名を記した道路標識が目に入ります。そこには、漢字と一緒にアルファベット表記が書かれています。私が目にした見慣れた言葉は、これでした。
 

1.余市町のロゴ(余市町役場のウェブサイトより)
 
 「使える」と思ったのは、これをなんとか自己紹介に活用できないかと考えたからでした。Yoichiという名前は、韓国などごく一部を除く海外の方には、まったくなじみがなく、極めて覚えにくいものです。私たちにとっても、海外の人の名前は覚えにくいことが多いので、仕方のないことではあります。ただ、同じ日本人男性の名前でも、「ひろし」なら「ひろ」、「かずひこ」なら「かず」のように、二音に縮めて覚えやすくすることができます。しかし、「よういち」はそういうことができません。
 
 それでも、やはり海外の方に名前を覚えてもらうのは、重要なことです。余市町には、ニッカウヰスキーの蒸留所があり、その名も「余市」というウイスキーを生産・販売しています。写真にあるように、この蒸留所やウイスキー、あるいは余市町の役場のロゴには、しっかり「Yoichi」の文字が入っています。最近では、これをなんとか自己紹介に使えないかなあと考えています。
 

2.ニッカウヰスキーの箱の写真

 
 
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