教員紹介

社会学部教員コラム vol.90

2016.12.14 現代社会学科 大澤 善信

タイ王国の「難民支援」NGO訪問

 大学祭のあいだに、タイ王国を訪れました。折しも、わたしたちのタイ訪問から遡ること2週間前の10月13日にプミポン国王が逝去され、訪問の数日前には新国王が即位されました。
 
 葬送の儀はもう終わったはずと思いきや、タイでは、新国王の即位よりも亡くなった国王への哀惜の念が明らかにまさっていました。駅構内では大画面に追悼映像が流され、プミポン国王の肖像画が掲げられて弔問台が設えられていました。大都市バンコクだけでなく、行く先々で黒めの服装か、そうでない場合は弔意を示す黒いリボンをつけている人々を見かけました。そのカリスマ的な人気の高さは聞いてはいましたが、いかに国民に敬愛される国王であったかが深く偲ばれました。
 
写真1(400)
 
 さて、社会学部は「難民」(広い意味での)支援に目を向けることをモットーにしています。これまでは「地域連携・ボランティアセンター」を中心に活動してきましたが、来年度には「多文化共生・地域連携センター」を立ち上げ、さらに活動の輪を広げて国内外の「難民」支援活動に学び、そして学部を上げて実践的に関わろうとしています。
 
 社会学部では、今年のアドベントに寄せ、「世界の平和と未来を考える集い」と題して「難民支援」の現状を語り合うイベント企画を立てています。開催日は12月22日(木)です。学生、市民、関連団体のみなさんのご参加をお待ちしています。
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詳細はこちら(社会学部アドベントチラシ)
 
 今般のタイ訪問もその一環でした。
 
 わたしたちは、タイの「国内難民」というべき子ども達が暮らす「子どもの村」の訪問を皮切りに、プーケットのビルマ難民支援の団体(The Foundation for Education and Development (FED))、それに津波被害にあった漁村・農村を訪問視察し、病院で医療通訳をする人、漁場、エビ養殖場、ゴム農園で働くビルマ難民にインタビューしました。タイとビルマの国境付近では深刻な種々の「難民」問題が生じています。(タイ・ビルマ国境ということでタイ北部の方だけをイメージした人は地図を見直してみてください。また「ビルマ」とはあえて書くのは、インタビューした方々がそう呼んでいたからです。)そのような国境を越えた労働者の移動、そして難民支援に取り組むNGOのネットワークに直に接することで、まさに「下からのグローバリゼーション」、言い換えれば「グローバルな市民的連帯の構築」の胎動を実感することができました。
 
 さて、これらの団体・施設については、同僚教員が別途報告するはずですので、本コラムでは、このタイ訪問をコーディネートしていただき、丸三日間まったく隙間のないハードスケジュールの訪問視察に同行していただいた、ある方を皆さんに紹介しようと思います。実のところ、この場で紹介するまでもなく、ネットをググって見れば万人周知の有名な方なのですが、この方を身近に知ることで、学生のみなさんにとっても世界が拡がるに違いないと思うのです。わたしたちと同道する前日までラオスに出向いていたというように、アジア諸地域を縦横無礙に活動されているご様子には敬服するしかありません。
 
 その方は、森本薫子(もりもとかおる)さんです。森本さんは『タイの田舎で嫁になる~~野生的農村生活』(めこん 2009)を著されています。本のタイトル通りタイ人を夫にして、「カオデーン」と名付けた自然農業を目指す農園を営まれています。タイの田舎生活と農業の様子が活き活きと描かれていて、自由闊達な筆致に恬淡とした人柄が彷彿します。
 
写真2(400)
 
 「あとがき」に「『世界、社会、人のために何かしたい』と考えるのなら、その現状に少なからず影響を与えている自分の生き方、自分の生活を見直すべきではないか」と考えるようになったものの、「『熱い使命感と目標を持ってイサーンの農村で暮らす』というのは私のスタイルではない」と、肩肘張ったミッション系は受け流しつつ「納得できて楽しめる暮らしをしたいといつも思っている」と記されています。恬淡としつつ、しなやかな強さを感じさせます。連日、早朝から日が暮れるまでのスケジュールで疲労困憊のはずなのに、移動中の車内でも、「このようなコーディネートをして人をつなぎ合わせるのが好きでわたしの得意技です」と話されていました。
 
 森本さんは、日本語、タイ語、英語を自在に駆使してインタビューを仲立ちしてくれました。森本さんは埼玉育ちで、地元の高校を卒業後渡米し、カリフォルニア州立大学フラトン校国際ビジネス学部で国際経営学を修められます。その当時から「国際協力」に関心が芽生えていたそうですが、帰国後は東京のマーケティング・リサーチ会社に勤務されます。3年ののち退職して、「日本国際ボランティアセンター(JVC)」の国際研修に参加して、有機農業による農村開発を学ぶ機会を得ますが、一年間の研修終了後には、JVCに就職して自然農業研修センターのためのタイ駐在員となります。
 
 ネットのプロフィール紹介には、「1999年から特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)タイ事務所駐在員としてバンコク・クロントイ・スラム住民組織支援、「タイの農村で学ぶインターンシップ(国際協力研修)」、タイ東北部の有機農業普及を担当。」とあります。2005年にJVCを退職して、このセンターの研修生であったタイの人と結婚し、タイの農村暮らしを決められます。そして、現在、農園経営の旁々、日本とタイのあいだのスタディツアーや交流ツアー、タイ研修のコーディネートをされています。
 
 タイ訪問最終日の日暮れ、わたしたちを空港まで見送ってから、森本さんはバンコクから長距離バスで10時間のイサーンの村への帰途につかれました。
 
 みなさんに森本さんを紹介する機会があることを念じています。
 
 
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