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岩手県大槌町立大槌学園図書館の支援活動 ~司書課程の専門性を活かす震災支援~

教員コラム
2016.11.11
現代社会学科
千 錫烈

 熊本地震や台風被害など今年も災害が発生していますが、東日本大震災から5年半の月日が経った岩手県の被災地でも復興の道のりは続いています。
 3年前から司書・司書教諭課程の学生を引率して岩手県の学校図書館の支援活動をしています。一昨年は釜石市、昨年は岩泉町、今年は大槌町で支援活動を行ってきました。
 岩手県大槌町は東日本大震災の津波により、町民の10%に相当する1,200人以上の死者・行方不明者があり、町役場を含めて町の大半がほぼ壊滅という大きな被害を受けました。
 
写真1(400)
津波で被災した大槌町役場 (2012年3月撮影)
 
 小学校や中学校も被災してしまい、4つの小学校と1つの中学校が統合して2011年からプレハブの仮設校舎で授業を再開していましたが、図書室も狭い状態で十分な環境ではありませんでした。
 
写真2(400)
仮設校舎の図書室(2013年11月撮影)
 
 今年度からは学校教育法改正による小中一貫校の「義務教育学校」として新たにスタートしており、子ども達にとっても念願であった新校舎が完成し、9月に移転が行われることになりました。
 
写真3(400)
大槌学園小中一貫教育校 まだ外構は工事中でした。
 
 それに合わせて、仮設校舎から新校舎への図書に引越が必要となり、日本図書館協会東日本大震災対策委員会のメンバー、地元岩手の盛岡大学の学生とともに、関東学院大学東日本大震災被災地支援ボランティアプロジェクトの一環として本学司書課程の学生を引率して、2016年9月18~19日に大槌学園の新校舎での図書の開梱・配架の支援活動を行ってきました。
 図書館は新校舎の中央部に配置されており、どのクラスからもアクセスしやすい開放性のある設計になっています。
 
写真4(400)
図書搬入前の図書室の様子
 
 主な作業は段ボールに詰め旧校舎から運び出した図書を開梱し、日本十進分類法(NDC)に基づきながら書架に図書を配架することです。私たちはNDC9類に該当する小説の配架を担当することになりました。
 学生たちは司書課程で学んだ知識を活かして、私が指示するまでもなく、作業の段取りや分担の相談を行い作業にとりかかってくれました。
 
写真5(400)
作業前に段取りの確認を打ち合わせる参加学生
 
 支援活動を通じて、子ども達のための学校図書館の環境整備の利用促進の実務を体験することにより学校図書館への理解をより深めることができると考えます。
 
写真6(400)
配架作業の様子
 
写真7(400)
図書を背ラベルの番号どおりに順番に並べていきます。
 
 2日間の作業で図書館の図書もきちんと配架をすることができました。
 
写真8(400)
配架作業終了後の図書館で記念撮影
 
 学校図書館の支援だけでなく、町内の視察もおこない、仮設商店街や仮開館中の大槌町立図書館の見学をしました。
 
写真9(400)
仮設商店街
 
写真10(400)
大槌町立図書館
 
 また、テレビ人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルといわれる蓬莱島にも足を延ばしました。
 
写真11(400)
赤い灯台がある島が「蓬莱島」
 
 ガレキなどは撤去されていますが、津波の被害にあった市街地全体は盛土の工事中であり、復旧はまだ半ばにしか過ぎないことを学生たちも町の様子を見て感じ取っていたようでした。
 
教員C 千先生 写真12
区画整理や盛土の作業が現在でも続いている市街地
 
 支援活動の日程は偶然にも「大槌まつり」の開催日と重なっており、大槌町の伝統芸能である虎舞や大神楽が行われ、被災地の方々が復興に向けて町を盛り上げる姿も見ることができました。
 
写真13(400)
 
写真14(400)
 
 2泊3日間という短い期間でしたが、TVや新聞などのメディアを通じてしか知ることができなかった被災地の状況について知ることができた貴重な経験となったと思います。
 
 
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