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進化する国立国会図書館

教員コラム
2013.05.31
現代社会学科
山本 宏義

国立国会図書館は、その名の通り国会の補佐機関としての国会図書館と、国民全体のためにサービスする国立図書館と2つの顔があります。今日はその後者についてお話します。

 

全体模型

 

近年どこの図書館も急速に電子化が進んでいますが、国立国会図書館も先頭に立って取り組んでいます。

2004年に策定された「電子図書館中期計画2004」にもとづいて、着々と準備を進めてきましたが、ようやく具体的な姿を見せはじめました。所蔵資料のデジタル化は2001年に着手されましたが、2009年に大型の補正予算が認められたことで急速に進展し、現在では所蔵資料約950万点のうち約220万点(2012年末現在)がデジタル化され、そのうち著作権が消滅した約43万点がインターネットで閲覧できるようになりました。そしてまたデジタル化された資料のうち、絶版等で入手困難な資料については、2014年1月から公衆送信を通じて全国の図書館で閲覧できるようになります。

また2012年1月から「国立国会図書館サーチ」(http://iss.ndl.go.jp/ )がスタートしました。国立国会図書館OPACに加えて全国の図書館、公文書館、学術研究機関等が提供する様々な情報を一度で検索できるようになりました。

東日本大震災アーカイブ(http://kn.ndl.go.jp/ )も今年3月から運用が始まりました。様々な媒体や形式で作成されている大震災の記録等を国全体で、分担収集、分担保存し、それらを一元的に検索できるシステムです。このトップページには石巻日日新聞社が大震災の翌日に発行した手書きの号外が載っています。

国立図書館の重要な仕事の一つに、国内の出版物を網羅的に収集する納本制度があります。従来は紙ベースの出版物だけでしたが、時代の変化の中で、図書館が扱う資料が多様になり、パッケージ化されたデジタル資料(CD−ROM等)もその対象になり、さらに昨年の国立国会図書館法の改正で、Web上のホームページ等も収集することになって、準備が進められています。

国立国会図書館が進めてきた所蔵資料のデジタル化は、その元になる紙ベースの資料があって初めて可能になるわけです。デジタル化の歴史は紙の歴史に比べれば圧倒的に短いので、デジタル資料がどの程度保存が可能なのか心配があります。そのためには今まで収集した紙媒体の資料は、たとえデジタル化が終わった後もそのまま保存することが必要です。

 

地下9階から青空を望む

 

漫画も大事な納本資料

 

国立国会図書館には建物の中心部に9階建の収蔵書庫をもっています。地上部分よりも地下部分が深く掘り下げられていますが、最下段まで外光が届くように建物の真ん中が吹き抜けになっていて、最下段に立つと、青空が見える構造になっています。そこには漫画週刊誌までもがきちんと収集されています。

国立国会図書館はデジタルとアナログが併存する世界です。


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