6月初旬のある日、小雨の降るなか、私はJRの藤沢駅からバスに乗り、
閑静な住宅街にある目指す場所に到着しました。門を入り玄関にたどり着き、
一歩建物に足を踏み入れたときに広がった光景がこの写真です。
えっ、ちょっとびっくり。
一見ホテルのロビーを思わせますが、ここはホテルではなく藤沢市立片瀬中学校です。
公立学校といえば永らく北側廊下に教室が一列に並ぶ光景が一般的でした。
その後、オープンスペースをもった学校、教室の仕切りがない学校、和室や茶室、
多目的スペースをもった学校、木のぬくもりを大切にした学校など、学校建築にも
いろいろな工夫がなされてきました。片瀬中学校もその一つですが、
ここの生徒さんが明るく大人びて見えるのは、このように工夫された建物環境も
影響しているのでしょう。
さらにホールの片隅に、こんなパネルを発見しました。
「自然との共生」を大切にしているこの中学校は、校舎の屋上に太陽光発電機と
ひまわり太陽光追尾システムを設置した「エコスクール」なのです。
この日はあいにく雨のため発電量は少ないのですが、2008年11月の
文部科学省等による「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」や、
2009年4月の「スクール・ニューディール」構想に先駆け、2003年の10月に
設置されたものです。
さてこの日、私がこの中学校を訪れたのは、教育実習生の研究授業を
見学するためでした。写真は2年生のクラスで、ペリー来航などを中心に
「欧米の進出と日本の開国」の研究授業を行った現代社会学科4年生の兼田君です。
授業後の反省会で、校長先生や担当の先生から厳しくも暖かいアドバイスをいただいた後、
カメラに収まってくれました。少しほっとしているように見えます。
文学部では英語、社会、地理歴史、公民などの教員免許状が取得できますが、
そのためには兼田君のように、教職課程を履修し40〜50単位ほど卒業単位に
プラスした教職関連科目の学修が必要です。
私もこの時期、教育実習校訪問を通してさまざまな学校や先生方との出会いが
とても楽しみです。そして教育実習生の逞しい変貌ぶりに、実習校に感謝しつつ、
教員になる夢が叶うようにと、また日々の大学での教育学の講義にも力が入ります。
(現代社会学科 高橋美恵子)