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『新版Understanding Japan, Singapore and Vietnam』と『失われるシクロの下で ーベトナムの社会と歴史ー 』を出版して

教員コラム
2017.07.28
現代社会学科
橋本 和孝

 昨年(2016年)夏から今年の春にかけて、ベトナムに関連した2冊の本を出版しました。Kazutaka Hashimoto著『新版Understanding Japan, Singapore and Vietnam』は、日本語に訳すと『新版日本・シンガポール・ベトナムを理解する』となります。ただ本書はベトナム語での出版でTìm hiểu về Nhật Bản Singapore và Việt Namというタイトルでハノイのタイハー・ブックスから発行されています。元々この本は、私が2004年に英語で出版したものですが、タイン・フーエンという方が英語から翻訳したものです。厳密には私の著書と呼んで良いのかは疑問の余地があります。500冊印刷されましたが、そのうち400冊が流通し、今年2月末で350冊が売れました。売れ行きはとても良かったと言えるでしょう。ネットの感想では、「本書は素材を統合したり分析するだけではなくて、むしろ解決策を提示しているのがとても良い」と評価されています。ただ残念なことに日本も含めてベトナム国外では販売されていず、訳語も「三種の神器」の勾玉がボールの意味で訳されたり、文明開化が「文明化と啓蒙」と訳されたり、訳者が日本を知らない方であるという限界があります。これは原文にも問題があるのですが、英語の本からの翻訳という思わぬ弊害です。
 
写真1
 
 『失われるシクロの下で-ベトナムの社会と歴史-』は、今年2月、西東京市のハーベスト社で出版しました。シクロとは乗り合い三輪自転車のことですが、かつてはどこの都市でも見ることができました。今は観光用位しか見かけることができなくなりました。タイトルとは裏腹に本書は、純然たる専門書です。「日本の社会学者による日本語でのわが国で最初のまとまったベトナムの社会と歴史に関する研究」というのが、キャッチフレーズです。
 
 もし大学1年生でも関心を持てる部分があるとすれば、最初の「戦争・都市・市場経済と≪公共性≫」、「ベトナム映画『バーガール』の社会学」、「ハノイ神光寺の漢越語」、「カオダイ・コミュニティの形成と変容」という4つの章でしょう。
 
写真2
 
 いずれ書評も掲載されるでしょうが、本書がweblio辞書の「カオダイ教」に関連した本に記載されていたのには、驚きました。 ベトナムの新興宗教であるカオダイ教に関心を持ったのは、一つは宗教団体であるのに軍隊(私兵)を持った歴史があること、もう一つは宗教コミュニティへの関心からなのです。
 
 本書も、いつの日かベトナム語に訳される日が来るでしょう。ベトナム国内の反応が楽しみです。
 
 
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