教員紹介

社会学部教員コラム vol.89

2016.11.18 現代社会学科 湯浅 陽一

パリスは間違い?

 フランスの首都は?と聞かれれば、迷うことなく「パリ(Paris)」と答えるでしょう。では、「パリス」と答える人がいたとしたら?「フランス語では最後のsは発音しないのでパリスとは読まない」と指摘する人も多いのではないかと思います。そのとおりなのですが、自分の国の言葉ではsも発音するということで、「パリス」と呼んでいる人たちもいます。そう、イギリス人をはじめとする英語圏の人々です。英語では「パリ」ではなく「パリス」と発音するのが正解なのです。スペルはまったく一緒なのですが、発音のルールが異なるため、2つの読み方が存在しているのです。
 
 ヨーロッパの都市に関して言えば、このように、現地語と英語で読み方や呼び方が異なるというケースが非常に多くあります。たとえば、有名な美術館のたくさんあるフィレンチェ。英語ではフローレンス(Florence)と呼ばれますが、現地語であるイタリア語の呼び方は、日本語のフィレンチェとほぼ同じです。紛らわしいのは国連本部のあるジュネーブ。英語ではジニーヴァ(Geneva)と呼ばれます。名作アニメ「母を訪ねて三千里」に親しみ、サッカーの三浦知良選手のセリエAへの移籍を喜んだ世代としては、「ジニーヴァ」という音はジュネーブではなく、イタリアの「ジェノヴァ」を連想してしまいます。ジュネーブはイギリスのニュースでもたびたび登場するのですが、慣れないうちは、イタリアの小さな港町がそんなに重要なのか?と不思議に感じていました。ちなみにジュネーブはスイスのフランス語圏に位置しているため、フランス語読みです。
 
 英語と現地語でそもそも名前が異なるという都市もあります。世界遺産にもなっている大聖堂のあるドイツのケルンもその1つ。ドイツ語でも日本語でもケルンで通用しますが、英語はコローニュ(Cologne)。もとはフランス語でつけられた名前ですが、英語でもこちらが定着しているようです。
 
 すでにお気づきの方も多いと思いますが、日本語は現地の言葉に即した読み方をしていることが多いです。私の経験では、英語での呼び方を必死に覚えて、現地に行ってみたら日本語のままの方が通じやすかったということも珍しくありません。
 
 英語は国際語となりつつありますが、古い歴史を持った言葉でもあります。その歴史に根ざした、多様な呼び方があるのも良いのですが、わかりやすさということで考えるのであれば、現地語を優先するというようなルールを設けてもよいのではないかと考えています。
 
 
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