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社会学概論

ミューチュアリズム(共生・相互扶助)で
社会を組み換える
OHSAWA YOSHINOBU/ZENSHIN
大澤 善信
担当科目
社会学概論、社会学史 他
今、もっとも関心がある研究テーマは?
モア・ザン・ヒューマンの未来へ、時代を読み解く
現代社会がどのような特性をもっているのか、社会理論についての研究をしています。現代社会を実証的にみるとき、何が重要になるかを知るために、都市的な生存環境を念頭に置きながら、社会理論の紹介や分析をしています。今、もっとも関心があるのは、グローバル化している社会の行く末と、人類の生存の有り方です。アニメの「天気の子」のテーマだった気候変動や放射性物質など、人間が地球に与える環境負荷は、これまでとは比べ物にならない状態になっています。他の生物との共生に関する視点がないままでは済まないだろうという、時代を読み解くための『人新世(じんしんせい)』という考え方にも注目しています。ゼミでは、米哲学者・M.サンデル先生の本を使って『公共哲学』という観点で、どういう社会のルールがもっともジャスティスなのかをテーマにしてきました。日本だけのルール作りではなく、また、人間中心でもない、動植物も人間も同列に置いて、さまざまな要素を盛り込み、その上で、どんな社会が理想社会なのか、社会デザインを考えようとしています。内閣府のsociety 5.0では「人間中心」の社会づくりが目指されていますが、それでは行き詰まってしまうでしょう。
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その研究における醍醐味や、やりがいは?
ふとした瞬間、ニューロンがネットワークして理解にたどり着く
現代思想を学びながら、これはと思う社会理論を検討し、翻訳するなどして紹介しています。90年以降、社会を批判的にとらえる理論は実に多様になっています。大所高所に立ったグランド理論ではなくて、あちこちから色々な視点でミクロな理論が噴出しているという様子です。それらを読み解いて理論間のつながりというか、今ここで共存している理由を解析しますが、お互いを照らしあっている要素や補助しあっている要素が見つかったり、難解な理論でも、ふとその深みが読み解けたりすると、やりがいを感じますね。
最近の学生には、相手を思いやるケアの気持ちにあふれ、扶け合いを意識したやさしい人が多いです。コロナで困っている学生に向け、学生が学生に向けてお弁当を配るボランティアグループの活動の話を聞くと、東日本大震災の後に注目されたソルニットの『災害ユートピア』という本で言われていたことを思い出します。それは、共通の窮地に陥った人間同士は競争し合うのではなく、互いに扶け合う性質を持っているということです。中には、お弁当を取りにくることもできない学生がいて、配送もしていました。お弁当の希望数が増えて食材が足りなくなった時には、他のNPOに食材協力してもらい、NPO同士のつながりもできて、ネットワークのネットワークが広がって善処できたのだと聞いています。今の学生は、活動が実践的でいいと思います。また、そうした活動に参加していない学生も、やさしい目線で温かく見守っているのが印象的です。
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ご自身の研究領域で、どのように社会をデザインしますか?
ミューチュアリズム(共生・相互扶助)で社会を組み換える
今、関心があるのは、ロシアの革命家・P.クロポトキンのアナーキズムの思想が見直されてきていることです。日本語では無政府主義といわれていますが、要は、人間の持っている社会性というか、この相互に扶け合う性質を活性化しようというものです。助けるという行為には、公助(国がやる社会保障)、共助(民間でやるNPOのようなもの。子ども食堂など)、自助の三つがあります。基本的な考え方は、まず自分でやっていく、それができなかったら公助に頼るというもので、共助つまり相互扶助的なことは一番最後になっていました。近代国家ができ、国が社会の中心になることで、お互いに扶け合う共助のシステムを社会から吸い上げて国の権限にしてしまったのです。一方、無政府主義というのは、政府任せにしてきた相互扶助のシステムを社会に埋め戻して、取り入れていこうというものです。歴史を見ても、社会というものは組合とか協会とか講だとか、相互扶助の組織が集まってできていたのです。21世紀を迎える頃から、生協活動などを模範にして、いろんなNPOが立ち上がり、社会の中心になっていく趨勢で、国内でも、諸外国でも注目されています。明治維新以来、政治・法律学や経済学が担ってきた分野まで、これからは社会学が社会づくりの知識の担い手として浸透していくことになるでしょう。国家の機能が全くなしで展開するのではなく、国家に依存することなく、相互扶助の視点で社会づくりをしていくのが、これからの社会づくりだと考えます。そのためには、さまざまな知識が必要になると思いますが、学生に伝えたいのは、社会学の知識を、役に立たないとか役に立つとかと即断するのではなく、抽象的な理屈も、社会学の基礎知識として学ぶことです。すぐに役立つ知識を欲しがるのではなく、実用的でない知識こそ、本当の自分の力になるということも憶えておいて欲しいと思います。
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